インボイス制度がフリーランスに及ぼす影響とは?

まず「インボイス」とは?

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まずはインボイス制度について解説する前に、インボイスという言葉の意味を理解しましょう。インボイスとは、売り手が買い手に対して、適用税率や消費税額などを正確に伝える書類のことです。この書類がなければ、仕入税額控除が適用されず、税金が高くなる可能性があります。

最近では、「フリーランスの仕事が減る」「国はフリーランスに厳しい」といった声もネット上で聞かれますが、今日はそもそもインボイス制度とは何なのかについて解説していきます。インボイス制度について知りたい方やフリーランスの方は、ぜひ最後までお読みください。

インボイス制度は「適格請求書等保存方式」というもの

インボイス制度は、適格請求書等の保存方法に関する制度であり、現行の帳簿に関する制度に変更はありません。ただし、以下のような取引関係書類の扱いに変更があります。

・請求書等への必要事項の記載
・適格請求書の発行は登録事業者に限られる
・登録事業者は適格請求書の発行が義務付けられる
・仕入税額控除を受けるためには、適格請求書等の保存が必要
・税額計算方法が変更される
・登録事業者になるには、申請が必要となる

適格請求書を発行するためには、適格請求書発行事業者として登録される必要があります。登録しなければ、インボイスの発行ができません。

適格請求書発行事業者になるまでの流れ

手続きの流れを紹介しましょう。

①登録申請書の提出
2021年10月1日から、最寄りの税務署で適格請求書発行事業者の登録申請が受け付けられます。
申請書には、以下の情報が必要です。
・申請者の納税地
・氏名または名称
・法人番号

②税務署による審査
提出された書類を税務署が審査します。

③登録及び公表・登録簿への登載
審査に問題がなければ、適格請求書発行事業者として登録され、登録簿に載ります。

④税務署からの通知
登録手続きが完了したら、税務署から通知書が送られてきます。

インボイス制度がフリーランスにもたらす影響

それでは、インボイス制度が導入された場合、売上が1,000万円以下のフリーランスにどのような影響があるのでしょうか。基本的に、彼らは免税事業者になりますので、インボイス制度で必要とされる適格請求書を発行することはできません。つまり、免税事業者が発行した請求書では、相手方の事業者は仕入額控除を適用できなくなってしまいます。相手方の事業者が「消費税が控除にならないので、免税事業者には消費税分を支払いたくない」と考えることがあるため、以下のような影響が出る可能性があります。

•免税事業者は相手方の事業者が消費税を支払わなければならないことを考慮して、請求額を増額することができなくなり、収入が減少する可能性があります。
•相手方の事業者は、消費税が控除可能な課税事業者に仕事を発注するようになる可能性があります。これに伴い、免税事業者の仕事量が減少する可能性があります。

インボイス制度に対してフリーランスが取るべき対応

フリーランスが取るべきインボイス制度への対応は、2つあります。1つ目はあえて課税事業者になり、適格請求書を発行できるようになることです。これにより、免税事業者でも自ら納税義務者になることができます。2つ目として、何もせず従来通りの免税事業者でいる方法もあります。どちらが適切かについては、実際に運用してみないとわからないところもあるため、国はしばらくの間、猶予期間を設定しています。

ケース1. 適格請求書発行事業者への登録

売上が1,000万円以下の免税事業者でも、あえて課税事業者になり、適格請求書を発行することで、取引の相手方に仕入額控除を受けさせることができます。ただし、課税事業者になるには、「適格請求書発行事業者」として登録する必要があります。この方法は、売上や仕事が減少するリスクを回避するために、自ら納税義務を負うというものです。適格請求書発行者になることで、発行する請求書に法的効力があることも覚えておいてください。

ケース2. 適格請求書発行事業者へ登録しない

取引相手や事業形態によっては、免税事業者のままで運営し、適格請求書発行事業者への登録をしなくても大きな影響はない場合があります。特に、売上や仕事の減少リスクが少ない場合は、そのままにしておいても問題ありません。また、インボイスに対応していない事業者からの仕入れについて、2023年からの3年間は80%、2026年からの3年間は50%の仕入税額控除が認められているため、適格請求書発行事業者への登録がすぐに必要なわけではない場合もあります。

まとめ

今回は、広く知られるようになったインボイス制度について解説しました。インボイス制度や適格請求書発行事業者の登録は、消費税が導入された以来、大きな制度改正とされています。インボイス制度は、課税事業者だけでなく、多くのフリーランスにも関係があることをご理解いただけたかと思います。売上が1,000万円以下のフリーランスの方は、取引相手やその状況、意向を事前に把握しておくことが望ましいです。今後、課税事業者になるかどうかを含めて、適切に判断できるように、日頃から知識を積み重ねておくことが重要です。